Title01
なんだか疲れた日だった。
学校が終わって,私は荷物を片付けて,帰った。
帰り道,また,裕香と一緒に笑っている本名を見た。
もしかしたら,もう付き合ってるのかもしれない。
…こういうのって,振られたっていうのかな……
ううん。ちがう。私は先に本名を振ったんだ。
鬱陶しいって。
大嫌いだって。
ジャマだって。
嫌だって。
苦手って。
本名に言うだけ言って,逃げて。
今だって,鬱陶しかったし,大嫌いだし,ジャマだし,嫌だし,苦手。
じゃあ…
なんでこんなに悲しくて,苦しい思いをしてる…?
混乱する。よくわからない。
私は一人,家の近くの公園に行ってベンチに座った。
じっと座って,泣きそうになって下を向いた。
「おい! 九!? どうした?」
ふ,と顔を上げると本名が居た。
裕香といっしょに笑っていた本名。
でも,今私の目の前に居るのは,私が見たことないくらい
焦って,怒ったような顔つきだった。
「なん,で…?」
「何でって,好きな女がうつむいてりゃ心配にもなるわ!」
「好きな女って,本名は裕香に乗り換えたんじゃ…」
「違う! あれは…」
本名の顔は赤かった。
「恥かしいから聞くな。」
本名は軽い男だから,
本名はしつこいやつだから
だけど,だけど,
今,私のためにここに居る本名。
「…で? 何があったんだよ? 俺が守ってやるからさ。」
そういって,私に見せるいつもの笑顔。
その笑顔を見たとき,急に目が熱くなって,
私の頬を,私の涙が伝った。
「!? どうしたっ? いじめ? 何で泣いてんだ!?」
本名はすっごく焦ってた。
私はクスっと笑っていった。
「バカ。」
「は?」
「本名がバカっていったの。」
「…はぁ?」
「ねぇ,天音って言って? あまねって。」
「なんで?」
「いいから。ほら。」
「……あ,天音…?」
うん。これでいい。
「あのさ,本名。」
「何さ?」
「今度から,その…,九じゃなくて,天音って呼ぶことを許可する!」
「…ぷはっ」
「!!」
「あはははは!!!」
「なっなによ?」
「天音,可愛くねぇの。」
いいかえそうとする前に,やっぱり本名はこういう。
「でも,そこが好きだよ。」