少女の旅

「そうですか。救世主とやらはとうとうこちらに……」

 

   アリスを上空から見ている影。 黒色と白色とわずかな赤で構成された人物。

 

「ふふ……。楽しくなりそうですね。」

 

   怪しげに影は嘲笑います。妙にシリアスです。 決してこれからもシリアスということにはなりませんが。

    ◆◆◆

  「……ッ!!」

     イカレ帽子屋の瞳が鋭く光ります。輝く黒曜石のようだったその双眸は,殺意を放ち, さきほどまでおどけていたその表情は,別人のように,まるで牙をむく狼と化しています。

 

「気の…せいか……?」

 

   「どうしたの? 帽子屋さん?」

 

アリスがイカレ帽子屋の後ろから声をかけます。

 

「エ? 別になんでもないですヨ? そういえばあのボーイは誰だったのでしょうネ?」

 

「…そうね……。」

 

   わたしって一体…? ,アリスはそう思いつつ,目を閉じて,一歩踏み出しました。

そして,美しい金髪をなびかせ,青い瞳を黒い帽子屋と赤い猫に向け,

 



「行きましょうか。不思議の国を救いましょう? 」  



  そう言って微笑みました。本当に美しく暖かく, 不思議の国の救世主は黒色と赤色と共に,旅に,出ました。