矛盾恋愛
「天音,好きだよ」
「うっさい。下の名前で呼ぶな」
私,九 天音(いちのく あまね)は,
軽々と人の名前を呼び捨てにする男,本名 疾風(ほんな はやて)を,ずっぱりと切って捨てた。
「んだよー。上の名前で言えば《キュウ》じゃん。キュウ,9!」
「あーもー。うるさいっ!アンタだって《ホンミョウ》じゃん。ホンナ?ホンミョウでしょ」
私と本名は変わった苗字をお互いに持ってる。
本名は,7ヶ月前・高校入学式,初対面の私を見てこういった。
「マジ好きです。付き合ってください」
そして,私はこう答えた。
「嫌です。いますぐ私の目の前から消え去ってください」
もともと,軽そうな男は嫌いだった。
一目ぼれって,見た目で決めてんのってかんじが,嫌いだった。
だから,スッパリハッキリ振った。
「だからぁ,おまえがすきなんだって」
でもそれは間違いだったらしい。
しつこい男はもっときらいだった。
「しつこいよ。本名」
「それが俺〜」
そういい合っていると,クラスの皆が来た。
「アハハ!まぁ〜たやってんのぉ?」
「でた!珍苗字コンビ!!」
「てか本名よくあきらめないよねー」
「あきらめたら,それで最後なんだっ」
「何処の少年漫画〜!!?」
けらけらと皆が笑った。
私としては,さっさとあきらめてほしい。
ため息をついていると,親友の鉋 裕香(かんな ゆうか)が
話しかけてきた。
裕香は,私の幼馴染であり親友。
「天音もさぁ〜,いっそのこと好きな人でも見つけたらぁ?」
「やだよ。あたし男嫌いだし」
「じゃあ付き合えば?疾風くんと」
「ッ! 裕香ぁ!!?」
「あはは〜。ごめんってそんな怒んないでって!!」
私は裕香をひととおり全力で睨んでから
「あんなのと付き合ってたら,高校一年しょっぱなから青春ダイナシよ」
と言い放った。
「そう? 疾風もがんばってると思うけどなぁ…」
遠い眼でそういう裕香。
「…………。」
男友達とじゃれあって,暴れている本名を見た。
「…あれ,がんばってるって言う?」
「ん〜。そうじゃなくてっ天音をあきらめないところとか♪
それに疾風は顔もいいんだよ。他校でも有名らしいし」
「……。」
裕香の声を聞きながら,私は本名を見ていた。
あ。眼が合った。私はすぐに目をそらした。
「にしし〜♪ 眼,合った☆」
「ッだっまっれっ!!」
私は,怒鳴ってそれから,いつものように本名と喧嘩していた。